「企業は大量の利益を出している。出していないのは、よほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」
「自民党300議席超で圧勝」の事前予測の中、選挙応援でこうした発言を連発しているのが、麻生太郎副総理兼財務相だ。
消費税の10%への引き上げを推進する立場だった麻生氏だが、早い段階で「衆院解散は総理の専権事項」とあっさり白旗。
安倍首相に本気で抵抗しようとはしなかった。
一方、麻生氏が厳しい視線を向けるのが企業経営者だ。
「麻生氏には、アベノミクスの金融緩和による円安や財政出動で政府・日銀がやれることはすべてやっているという意識がある。
それなのに、労働者の実質賃金は前年同月比で16カ月連続、個人消費は7カ月連続で下回り続けている。
これは民間経営者が賃上げに消極的だからだ、という苛立ちが、経営者に厳しい発言につながったのでしょう」(自民党関係者)
ただ、企業の海外進出加速による空洞化で、円安はかつてのように日本経済にプラスとばかりいえない産業構造に変わっているのも事実だ。
「円安倒産は過去最悪を記録しており、年明けにはさらに増えると予想されている最中、失言といわれても仕方がない」(同前)
麻生氏といえば、過去に「女性に参政権を与えたのは失敗だった」と発言するなど“失言病”で知られるが、ここにきて再発したのか、7日には社会保障費が増えている問題に触れ、「高齢者が悪いようなイメージを作っている人がいっぱいいるが、子どもを産まない方が問題だ」とも述べた。
党の選対幹部が嘆く。
「自民党勝利が確実視され、選挙後をにらんで、自分の派閥拡大に必死。ついつい熱くなって、舌がすべってしまうのではないか」 党関係者が注目するのが、福岡1区だ。
ここは麻生氏と古賀誠元幹事長の「代理戦争」となったため、党本部が双方に気をつかって「公認見送り」という珍しい事態となった。
麻生氏は公示前日の1日、「後に問題を残すより、今回はっきりさせた方がいい。勝った方が自民党公認だ」とぶった。
前回、古賀氏の元秘書が公認に決まりかけたのを、安倍晋三総裁の「裁定」でひっくり返し、自派の県議を公認させたのが麻生氏だった。
国民そっちのけの遺恨試合に加えて“失言病”の再発。
絶好調自民党の唯一の死角は、政権ナンバー2のようだ。

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